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昭和の車は煙を吐いていた
昭和の頃。
小学生が描いた自動車の絵では、黒い煙の尾を引いていた。
マフラーからモクモクと排ガスが吐き出されていたものだ。
ダンプカーなどは、まるで移動する排ガス発生装置のような描かれ方。
それも、灰色や、黒っぽく、かなり有害な気配のものが吐き出されているようになっていた。
その様子は、当時の子供の想像ではなく、多くの人が実際に目にしていたもの。
だが、現在は、そんな凶暴な排ガスを吐きながら走っている車はない。
車の台数は増え、エンジンの排気量も大型化しているのにも関わらず。
排ガスは有害物質のカクテルだった
煙を吐きながら車が走っていた頃。
その煙の中には、一酸化炭素、一酸化窒素などの窒素酸化物、煤の塊、それに燃え残りの燃料が混じっていた。
一酸化炭素はそのまま毒になる。
窒素酸化物も身体によくないし、空気中の水分と反応すると硝酸などになってしまう。
少し前に問題になった酸性雨の原因だ。
煤ははっきりと目に黒く見える。
目に見える煙は、煤をばら撒いているようなものだ。
これをもしそのまま吐き出していたのであれば、空気はあっという間に有害物質で汚染されてしまう。
触媒という名のヒーロー
車が黒い煙を吐かなくなったのは、触媒が分解しているからだ。
それで、現在の自動車の排ガスはおおむねきれいである。
エンジンが回っている状態で、うっかりマフラーのそばに立ったとしても、スボンが黒くなることはない(僕が自動車を運転し始めた頃は、マフラーのそばに立つときは要注意だった)
一酸化炭素は空気と反応して二酸化炭素になっている。
窒素酸化物はいくつかの段階を経て窒素と水になっている。
煤の粒はいったんフィルターで濾し分けておき、空気で燃やして二酸化炭素にしている。
燃え残りの燃料も、燃やして二酸化炭素にしている。
それぞれで触媒が働いている。
触媒がなければ、今でも自動車は有害排ガス発生器であったはず。
具体的な触媒の形は、この記事の写真に示したようなもの。
ハニカム触媒という。
このハニカムの小さな通路状の穴の表面に、金属酸化物、貴金属などを塗布して触媒にしている。
触媒はエンジンとマフラーの中間に配置されている。
「床下触媒」と呼ばれることもある。
とても大事な仕事を、床下で行っているのだ。
もっと脚光を浴びてもいいと思う。
工場の排ガスも触媒が処理している
工場や廃棄物焼却場からも排ガスが出ている。
焼却炉で廃棄物を燃やすと、一酸化炭素、窒素酸化物、煤などに加え、窒化物、硫化物やダイオキシンなども発生してくる。
これらをそのまま大気中に放出すると大問題になる。
これらも、触媒とフィルターを組み合わせて処理している。
用いられている触媒の成分は大体同じ。
金属酸化物と貴金属の組み合わせが一般的である。
自動車と違う点があるとすれば、窒化物や硫化物、ダイオキシンなどの含塩素有機化合物の処理機能が求められるところ。
これらも、十分な機能を有する触媒が開発されている。
現在、特段の注意が必要なく空気が吸えているのは、触媒と、触媒研究者のおかげである。
もし排ガス処理触媒技術がなかったら 環境触媒分野研究の重要性:触媒blog
暖淡堂:触媒blog

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