アンモニアは、じつはとても利用価値の高い優れもの
キツ目の匂いがあることから、やや嫌われ気味のアンモニア。
このアンモニアは、じつはとても利用価値の高い物質である。
水素と比べると
水素は燃料として使った場合、水が生成する。
CO2やその他の排気ガスは生じない。
一方で、燃料電池などで使われる水素はかなりの高圧にしないと液化しない。
また、水素は爆発性があるので、燃料電池車の水素ボンベは特殊な材料で作られなければならない。
水素の怖さ
実験室で過ごした経験のあるものとしては、実はちょっと怖い。
ジュール➖トムソン効果の逆転温度というのがあり、水素ボンベは、漏れると、自分で発熱して、その熱で発火、爆発することもありうる。
(燃料電池車が、どれだけ安全が確認されていると言われても、怖いものは怖い)
アンモニアは比較的安全
一方、アンモニアの液化は水素より楽である。
アンモニアも条件によっては爆発はするのかもしれないが、水素よりはマシな気がしている。
少なくとも、アンモニアのガスボンベからアンモニアが漏れても、臭いくらいで爆発は起こらない。
アンモニアの利用価値が高い理由
アンモニア一分子(NH3)には、水素原子が(H)が3個含まれている。
これは水素分子(H2)の一分子半。
水素原子で考えると、水素分子(Hが2個)よりもアンモニア(Hが3個)の方がお得なのだ。
そこで、水素の代わりにアンモニアをボンベに充填し、アンモニアから水素を取り出し、その水素を燃料電池で使おうとする技術が開発されている。
あるいは、アンモニアをそのまま、あるいは石炭などと混合して、燃料にして使おうというアイデアもある。
有害な窒素酸化物NOxをアンモニアに変換する触媒
触媒を使うと、工場や自動車からの排ガスに含まれる有害な窒素酸化物を、アンモニアに変換することができる。
最近の特許技術の紹介
令和7年12月11日公開の、公開番号2025-181385に記載されている触媒技術がそれにあたる。
出願人は国立研究開発法人産業技術総合研究所。
この特許明細書の実施例に記載されている触媒は、希土類のセリウムの酸化物(セリア:CeO2)にニッケル元素とナトリウム元素を担持させたもの。
この触媒を反応器に充填し、一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、水蒸気(H2O)、アルゴン(Ar)の混合ガス下で熱処理を行い、その後、同じ組成のガスを流通させて、反応器外に出てきたガスを分析している。
その結果、供給した一酸化窒素(NO)は反応して減少し、アンモニア(NH3)の生成が確認されている。
アンモニアの生成機構は記載されていないが、COとH2Oが供給されているので、シフト反応(CO+H2O→CO2+H2)で生成する水素が使われてNOの水素化が進行しているのだろう。
水素を原料として供給しなくても、反応系内で生成する水素があるからいい、ということ。
担体のセリアの面白み
興味深いのは、セリア(CeO2)が担体として有効であるところ。
このセリア、自動車の排ガス触媒ではお馴染みの成分。
酸素(O2)やNOを吸着する能力を有する。
まるでスポンジの様な性質がある。
その辺りも触媒性能に効いているのかもしれない。
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